けいざいの温度計

経済用語 解説

このサイトで使う経済用語の解説をまとめています。「名目ってなんやねん?」「季節調整って何?」みたいな疑問に答えます。各指標ページから、該当する用語にアンカーリンクで飛べるようにしています。辞書的に使ってください。

専門領域別の深掘りは、別ページに用意しています:金利の正体(政策金利・長期金利・公定歩合の違い)、所得の正体(名目賃金・実質賃金・可処分所得の関係)。

1. 指数の読み方

基準年と指数 = 100

経済指標の多くは「基準年を 100 とした指数」で表されます。 例:CPI(消費者物価指数)は 2020 年 = 100。 2025 年の指数が 110 なら、2020 年比で物価が 10% 上昇したことを意味します。

なぜ指数で表すかというと、品目構成や調査対象の入れ替えがあっても、 時系列で比較できるよう調整できるからです。

前年同月比・前年同期比(YoY)

「Year over Year」の略。1 年前の同じ月(または同じ四半期)と比べてどれだけ動いたかを、パーセントで表す指標です。月次データでは「前年同月比」、GDP のような四半期データでは「前年同期比」と呼び名が変わりますが、「1 年前の同じ期間と比べる」という考え方はまったく同じです。

例:2026 年 3 月の CPI が +1.4% なら、2025 年 3 月から 1.4% 上がったということ。GDP なら、2026 年 Q2 の前年同期比は「2025 年 Q2 と比べてどれだけ変化したか」を表します。

季節要因(夏は冷房代が上がる、年末は食料が上がる、Q4 はボーナス月等)を自然に消せるので、 「実質的な動き」を見るときの定番です。

% と pt(ポイント)の違い

「前年同月比」のような割合(%)同士を比べるとき、その差は「%」ではなく「pt(ポイント)」で表します。数字としては引き算しているだけなので混同しがちですが、経済統計ではこの 2 つを使い分ける慣習があります。

例えば、ある指標の前年同月比が先月 +5.1%、今月 +12.8% になったとします。

  • 絶対的な差:+7.7 pt(12.8 − 5.1 = 7.7)
  • 相対的な変化率:+151%((12.8 − 5.1) ÷ 5.1 ≈ 1.51)

どちらも計算のもとは「%」なのに、答えが全然違います。もし「+7.7%」とだけ書いてしまうと、読者は「7.7 ポイント上がった」のか「151% も跳ね上がった」のか区別できません。この誤読を避けるため、2 つの割合(%)の単純な差には「pt」元の値に対する変化率には「%」と表記を使い分けます。

寄与度(例: 「食料の寄与度は +0.9pt」)も同じ考え方で、総合指数の前年同月比という「割合」の内訳を「pt」で示しています。

前月比(MoM)

「Month over Month」の略。直前の月と比べてどう動いたか。 短期の動きを見るのに使いますが、季節要因が乗りやすいので注意が必要です。

前期比(QoQ)

「前期」とは直前の四半期(3 ヶ月間)のこと。「前期比」は、その前期と比べてどれだけ変化したかを表す数字です(英語では Quarter over Quarter=QoQ)。GDP のように四半期ごとに発表される統計でよく使われます。

ポイントは「何と比べるか」です。前期比は直前の四半期と比べ、前年同期比1 年前の同じ四半期と比べます。同じ実質 GDP のデータでも、比べる相手が違えば数字も変わります。2026 年 Q2 の実質 GDP を例にすると:

比べる相手 対象の四半期 結果
前期比(直前の四半期) 2026 年 Q1 と比較 +0.3%
前年同期比(1 年前の同じ四半期) 2025 年 Q2 と比較 +0.5%

同じ 2026 年 Q2 の数字なのに、直前の 3 ヶ月と比べれば +0.3%、1 年前の同じ四半期と比べれば +0.5% と、答えが変わります。前期比は「直近の勢い」を素早く捉えられる一方、単発の四半期は数字がブレやすいという弱点があります。前年同期比は季節要因を消せる分、直近の変化には 1 年遅れで反応します。ニュースで両方の数字が並んで出てくるのは、それぞれ見ている「勢い」の長さが違うからです。

DI(ディフュージョン・インデックス)

アンケートの回答を 1 本の数字にまとめた、景気の体温計です。 代表的な作り方は「『良い』と答えた割合 − 『悪い』と答えた割合」。 プラスなら強気の回答が多数派、マイナスなら弱気が多数派、という意味になります。

日銀短観の業況判断 DI は 0 が境目(「良い」と「悪い」が拮抗)。 景気ウォッチャー調査の DI は 50 を中立に置く方式で、 同じ「DI」でも基準が違うことがあるので注意してください。

物価指数(CPI など)とは別物で、「水準」ではなく「回答の偏り」を測っているのがポイント。 詳細は 日銀短観ページ景気ウォッチャー調査ページ

2. 物価・経済規模の用語

名目 vs 実質

経済データを読むとき、最も重要な区別の一つです。

  • 名目(nominal):その時点の物価で評価した数字。 例:名目 GDP = その年の物価で計算した経済規模。
  • 実質(real):基準年の物価に揃えて評価した数字。 例:実質 GDP = 物価変動を除いた、量的な経済の動き。

なぜ重要か。物価が上がっただけで「数字が増えた」ように見えても、 それは「実際にモノやサービスが増えた」のとは違うからです。

例:日本の名目 GDP は 1995 年から 2025 年までで約 1.3 倍になりましたが、 実質 GDP では約 1.26 倍。差の大半は近年の物価上昇分です。

詳細は GDP ページ および 所得の正体 を参照。

コア CPI、コアコア CPI

CPI(消費者物価指数)には複数の集計バージョンがあります。

  • 総合指数:全品目の物価変動。
  • コア CPI:生鮮食品を除いた CPI。生鮮食品は天候で大きく変動するため、 トレンドを見るときに除外します。
  • コアコア CPI:生鮮食品 + エネルギーを除いた CPI。 外的要因(原油価格・自然災害)の影響を取り除き、純粋な需要側の物価を見るための指標。

このサイトのカードでは、デフォルトでコアコア CPI を表示しています。詳細は CPI ページ

寄与度

総合指数の前年同月比が「+1.4%」だったとき、その上昇に各費目が「どれだけ貢献したか」を表す数字です。

例:総合指数の前年同月比 +1.4% のうち、食料の寄与度が +0.9pt なら、 食料が単体で総合の 0.9% 分を押し上げた、ということ。

寄与度を見ると「何がインフレの原因か」が分かります。

ウェイト(指数の重み付け)

指数を計算するとき、すべての品目を平等に扱うのではなく、 家計が多くお金を使う品目ほど大きな「重み」を持たせます。これがウェイトです。

例:CPI では食料が支出の約 26%、住居が約 21% を占めるためウェイトが大きく、 この 2 つの値動きは総合指数を大きく左右します。 逆にウェイトの小さい品目は、単体で激しく動いても全体への影響は小さい。

寄与度 は「各品目の変化率 × ウェイト」で計算されます。

デフレートする・デフレーター

デフレートするとは、金額から物価の上昇分を割り引いて、「実際に買った量」に近い数字を取り出すことです。日本語では実質化とも言います。割るのに使う物価指数のことをデフレーターと呼びます。

「デフレ」(物価が下がる現象)とは別の言葉です。物価が上がっている局面でも下がっている局面でも、デフレートという操作は同じように行われます。

計算は割り算ひとつです。

実質の値 = 名目の金額 ÷ 物価指数 × 100

たとえば、2020 年を 100 としたとき、食料への支出額が 120、食料の物価が 130 だったとします。支出額を物価で割ると 120 ÷ 130 × 100 = 92払うお金は 2 割増えたのに、買えている量は 8% 減っている、と読めます。名目の 120 だけを見て「たくさん買うようになった」と考えるのは誤りだ、ということです。

このサイトでは、実質賃金(給料で買えるモノの量)、実質消費支出(実際に買った量)、実質 GDP(生産した量)などが、いずれもこの操作を経た数字です。

注意すべきなのは、どの物価指数をデフレーターに使うかで答えが変わる点です。たとえば家計調査の消費支出は、総務省が「消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)」で実質化しています。CPI の総合指数で割ると、公表値とは少しずれた数字になります。実質の数字を比べるときは、デフレーターが同じかどうかを確認してください。

GDP デフレーターは、名目 GDP を実質 GDP で割って逆算した物価指標です。CPI が家計の買い物かごの値段を測るのに対し、GDP デフレーターは国内で生産されたモノ・サービス全体の価格を映すため、輸入物価の影響の出方が違い、CPI とは異なる動きをすることがあります。

付加価値

企業が生産の過程で新しく生み出した価値のこと。 売上から、外部から仕入れた原材料・部品の費用を引いた残りです。

GDP は、この付加価値を国全体で足し上げたもの。 単純に売上を合計すると材料費が何重にも数えられてしまうため、 付加価値で測ることで「重複」を取り除いています。

交易利得(損失)・交易条件

まず「交易」とは、日常語で言えば貿易・輸出入(モノの売り買い)のことです。「交易利得」は「貿易でどれだけ得(または損)をしたか」という意味の統計用語だと考えてください。

「利得」は普段あまり使わない言葉ですが、ここでは「輸出入の価格差から生まれる、実質的な購買力の増減」を指します。得することもあれば損することもあるので、正式には「交易利得(損失)」とセットで呼ばれます。

元になるのは交易条件(輸出物価 ÷ 輸入物価)です。同じ量を輸出しても、輸入品の値段が上がれば買える輸入品の量は減ります。つまり交易条件が悪化すると、国内で生産した「量」(実質 GDP)は変わらなくても、実質的に使える所得は目減りします。この目減り分(またはプラスなら増加分)を金額換算したものが交易利得(損失)です。

  • 資源高・円安で輸入コストが上がる → 交易条件が悪化 → 交易利得はマイナス(交易損失)
  • 資源安・円高、または輸出品の価格競争力が上がる → 交易条件が改善 → 交易利得はプラス

実質 GDP にこの交易利得(損失)を足したものが実質 GDI(国内総所得)です。「生産した量」と「実質的に手元に残る所得」の差として、GDP ページ で長期推移を見られます。

フローとストック

「フロー」はある期間に生み出された量、「ストック」はある時点で積み上がっている残高です。

  • フロー:GDP(その期間にいくら稼いだか)、賃金、消費など。
  • ストック:家計金融資産(いまいくら持っているか)、政府債務、住宅ストックなど。

蛇口から流れ出る水の量がフロー、浴槽に溜まった水がストック、とイメージすると分かりやすい。 両者は単位が違うので、混ぜて比較してはいけません。

コストプッシュ/ディマンドプル・インフレ

同じ「物価上昇」でも、原因によって性質が正反対のことがあります。

  • コストプッシュ型:資源高や円安で企業のコストが上がり、 それが価格に転嫁されて起きる物価高。家計の購買力を削るので「悪いインフレ」と呼ばれがち。
  • ディマンドプル型:賃金や需要が伸び、モノが売れるから値段が上がるタイプ。 経済が温まっているサインで、賃上げを伴えば「良いインフレ」とされます。

日本の 2022 〜 2024 年のインフレは典型的なコストプッシュ型でした。 日銀が利上げに動けるかは、これがディマンドプル型に変わったかどうかにかかっています。

価格転嫁・為替パススルー

価格転嫁とは、企業が上がった仕入れコストを販売価格に上乗せし、客に負担してもらうことです。 転嫁しきれないと、企業の利益(マージン)が削られます。

とくに円安による輸入コストの増加が、どれだけ国内物価に乗るかを「為替パススルー」と呼びます。 すべてが転嫁されるわけではなく、企業が利益を削って吸収する分もあるため、 円安の幅と物価上昇の幅は一致しないのが普通です。

輸入物価 → 企業物価 → 消費者物価、と川上から川下へ時間差で波及していきます。

原油価格とエネルギー CPI の直接波及

上で説明した「輸入物価 → 企業物価 → 消費者物価」という波及は、数ヶ月〜1 年かけて進む遅い経路です。ところが原油価格は、これとは別にもう一つ、CPI のエネルギー項目にほぼ即時〜数週間で直結する速い経路を持っています。

  • ガソリン:店頭価格は輸入原油価格の動きにほぼ連動して変わるため、 企業物価(PPI)を経由せず、ダイレクトに CPI のエネルギー項目に反映されます。
  • 電気代・都市ガス代:「燃料費調整制度」という仕組みにより、原油・LNG の輸入価格の変動が毎月の料金に自動的に転嫁される契約になっています。これも PPI を経由しない直接波及です。

つまり原油は「PPI 経由でじわじわ効いてくる分(他の輸入財と同じ遅い経路)」と「エネルギー価格として CPI に即座に出る分(速い経路)」の二重の波及構造を持っています。CPI 総合指数がエネルギー価格の動きで大きく振れやすいのはこのためで、コア CPI・コアコア CPIを使い分けてこの直接波及の影響を切り分けるのが定石です。

もう一つ原油特有の要因が、政府によるガソリン補助金のような政策介入です。他の輸入財にはあまりない緩衝材で、補助金の有無・規模次第で、同じ原油価格の上昇でも CPI への出方が変わります。

3. 時間の処理

季節調整

データには季節的なパターンがあります(夏は冷房で電気代上昇、12 月はボーナスで賃金上昇など)。 これを統計的に除去して「真の動き」を取り出す処理が「季節調整」です。

季節調整済みのデータを「季調値」と呼びます。 公表されるデータには「原数値」と「季調値」の両方があることが多い。

例:実質 GDP は通常「季節調整済み・年率換算」の値が報じられます。

移動平均(3 ヶ月移動平均)

「直近 3 ヶ月の平均値」を時系列で計算したもの。 単月のブレを均して、トレンドを見やすくする手法です。

例:機械受注、鉱工業生産は単月ブレが大きいので、3M 平均で評価するのが業界標準。 このサイトでもカードの数字は 3M 平均ベースのものがあります。

年率換算・前期比年率

「このペースが 1 年間続いたら、結局どれくらい伸びるか」に換算した数字です。GDP のニュースでよく見る「前期比年率 +1.2%」は、前期比(QoQ)を年率に換算したもの——つまり「前期比」と「年率換算」を組み合わせた数字です。

なぜ単純に 4 倍しないかというと、経済成長は複利で積み上がるからです。四半期ごとに +0.3% ずつ成長すると、2 期目は 1 期目の増えた後の金額にさらに +0.3% が乗ります。これを 4 四半期分掛け合わせるので、計算式は

年率 = (1 + 前期比 ÷ 100)4 − 1

前期比 +0.3% を当てはめると (1.003)4 − 1 ≈ +1.2%(単純に 4 倍した +1.2% とほぼ同じ値になりますが、伸び率が大きいほど単純な 4 倍とのズレが広がります)。

四半期ごとの前期比は 1 期分だけだと数字がブレやすいため、「もし今のペースが 1 年続いたら」という共通の物差しに揃えることで、四半期同士や他の年の数字と比較しやすくしています。GDP の成長率が「年率 ○%」で語られるのはこのためです。

4. 公表段階・データ性質

速報・確報・確々報

統計データは段階的に公表されます。

  • 速報(preliminary):最初の公表値。集計が間に合った範囲で出します。
  • 確報(final / revised):全データを集計し直した値。 速報と数 % 違うこともあります。
  • 確々報:さらに改訂された値。 長期統計では年次基準改定で全期間が書き換えられることもあります。

このサイトでは原則「速報含む最新値」を使用していますが、必要に応じて公表段階を明記しています。

原数値・原指数

季節調整を施していない、生のデータです。 「季調値」と対比されます。月次データでは原数値と季調値の両方が公表されることが多い。

5. 経済学の概念

在庫循環

景気のステージを「生産・出荷・在庫の組み合わせ」で読み解く古典的な分析手法です。

  • 生産↑ 出荷↑ 在庫↓ → 強い好況
  • 生産↑ 出荷↑ 在庫↑ → 拡大局面
  • 生産↑ 出荷↓ 在庫↑ → 警戒局面
  • 生産↓ 出荷↓ 在庫↑ → 後退局面
  • 生産↓ 出荷↓ 在庫↓ → 底入れ・回復前夜

詳細は 鉱工業生産ページ

先行指標・一致指標・遅行指標

景気変動との時間関係で分類される指標群です。

  • 先行指標:景気の動きより先に動く(半年〜1 年先行)。 例:機械受注、消費者態度指数。
  • 一致指標:景気とほぼ同時に動く。 例:鉱工業生産、雇用関連指標。
  • 遅行指標:景気の動きを遅れて反映する。 例:完全失業率、家計消費(一部)。

このサイトのホームでは、この性質別にカードをグルーピングしています。

失われた 30 年

1990 年代後半から 2020 年代前半まで、日本の名目 GDP がほぼ横ばい (500 〜 550 兆円のレンジ)だった時期を指す表現です。

実質 GDP も微増にとどまり、米国の名目 GDP は同期間で約 4 倍、 中国は約 30 倍に成長したのと対照的でした。

経済学的には「長期停滞(Secular Stagnation)」と呼ばれる現象です。詳細は GDP ページ

景気循環(拡張・後退/山・谷)

経済は一直線に成長するのではなく、「良くなる(拡張)」と「悪くなる(後退)」を 繰り返す波を描きます。これが景気循環です。

  • 景気が一番良かった時点を 山(ピーク)、 一番悪かった時点を 谷(ボトム) と呼ぶ。
  • 谷から山までが 拡張期、山から谷までが 後退期
  • 波の向きが変わるポイントが 転換点、 谷を打って上向くことを 底入れ という。

山・谷がいつだったかは、内閣府が後から「景気基準日付」として公式に確定させます。 リアルタイムではなく事後的に判定されるのがポイント。詳細は 景気動向指数ページ

需給ギャップ(GDP ギャップ)

経済全体の「実際の需要」と、フルに生産できる「供給力(潜在 GDP)」の差のことです。

  • プラス(需要 > 供給力):経済が過熱気味で、物価には上昇圧力。
  • マイナス(需要 < 供給力):需要不足で、物価には下押し圧力(デフレ圧力)。

日銀が金融政策を決めるときに重視する指標のひとつ。短観の 需給判断 DI ページ は、これを企業の体感ベースで早めに捉えたものです。

フィリップス曲線

失業率が下がると物価が上がりやすい、という失業と物価の逆相関のこと。 1958 年に経済学者フィリップスが見つけた古典的な関係で、 教科書では右下がりの曲線として描かれます。

考え方はシンプルで、人手不足になると企業は賃金を上げ、 それがコストとなって物価に乗る、というもの。 ただし日本では 2000 年代以降この関係が崩れ、「曲線」と呼べる形になっていません。詳細は 横断分析: フィリップス曲線ページ

6. その他の頻出用語

為替(円安・円高)

「ドル/円が 150 円」「ドル/円が 160 円」と聞いて、どっちが円安か分からない人向けの整理です。

  • 円安:1 ドルを買うのにより多くの円が必要になること。 例:ドル/円 150 円 → 160 円は円安方向。
  • 円高:1 ドルを買うのに必要な円が少なくて済むこと。 例:ドル/円 160 円 → 140 円は円高方向。

詳細は 為替ページ

金融政策(緩和・引き締め)

中央銀行(日銀)が経済をコントロールするために金利や資金供給を調整する政策です。

  • 金融緩和:金利を下げる、資金を供給する。景気刺激。
  • 金融引き締め:金利を上げる、資金供給を絞る。インフレ抑制。

詳細は 政策金利ページ金利の正体

量的緩和・マイナス金利政策

政策金利をゼロ近くまで下げきった後、 日銀がさらに景気を刺激するために打ってきた追加策の総称です。

  • 量的緩和:金利ではなく、市場に流すお金の「量」を増やす手法。
  • 異次元緩和(2013 年〜):その規模を桁違いに拡大したもの。
  • マイナス金利政策(2016 年〜):銀行が日銀に預けるお金の一部に マイナスの金利をかけ、貸し出しを促す仕組み。

いずれも「金利のない世界」を作り出した一連の政策です。詳細は 政策金利ページ

YCC(イールドカーブ・コントロール)

日銀が 政策金利(短期)だけでなく長期金利(10 年国債利回り)も目標水準に誘導する 政策のことです。2016 年 9 月に導入され、短期金利は −0.1%、長期金利は概ね 0% を目標として、長期金利が上振れすれば日銀が国債を無制限に買って金利を抑え込む——という運用でした。

通常の金融政策は政策金利(曲線の左端、1 日の金利)だけを動かし、長期金利は市場に任せます。これに対して YCC は短期と長期の両方をピン止めし、イールドカーブ(利回り曲線)の形そのものを操作する 点で世界的にも異例の政策でした。

  • 2016 年 9 月:YCC 導入。短期 −0.1%、長期 0% 程度。
  • 2022〜2023 年:海外金利上昇と国内インフレで長期金利に上昇圧力。許容変動幅を ±0.25% → ±0.5% → ±1.0% と段階的に拡大。
  • 2024 年 3 月:マイナス金利政策の解除と同時に YCC の基本枠組みも終了。長期金利は市場の自由な値動きに戻った。

2022 年以降に日本の長期金利が上昇に転じ、住宅ローン固定金利が上がり始めたのは、海外金利上昇に加えてこの YCC 上限の緩和・撤廃が直接の引き金でした。 イールドスプレッド長期金利ページ と合わせて見ると、その動きが具体的に追えます。

実質金利

表面の金利(名目金利)から物価上昇率を引いた、物価変動を考慮した実質的な金利です。

例:預金金利が 0.2% でも、インフレが 2% なら実質金利は約 −1.8%。 利息はついても、物価上昇でそれ以上にお金の「買える力」が目減りしている状態です。

実質金利がマイナスのときは、現金や預金でただ貯めているだけだと損をする、というシグナル。 名目 vs 実質 の考え方を金利に当てはめたものです。

イールドスプレッド・逆イールド

イールドスプレッドとは、長期金利と短期金利(政策金利)の差のこと。 市場が将来をどう見ているかのものさしになります。

  • 差が大きい(スティープ):市場が景気拡大・インフレを予想している。
  • 差が小さい(フラット):低成長・低インフレを予想している。

通常は長期金利のほうが高いのですが、これが逆転して長期が短期を下回る状態を 「逆イールド」と呼び、景気後退の前兆として古くから注目されてきました。

労働力人口・非労働力人口

15 歳以上の人は、働く意思のあるなしで 2 つに分けられます。

  • 労働力人口:働いている人(就業者)+ 仕事を探している人(完全失業者)。
  • 非労働力人口:それ以外。学生、引退した人、家事専業の人、 求職をあきらめた人など。

完全失業率 の分母になるのは労働力人口のほうです。 だから職を失っても求職活動をやめると非労働力人口に移り、失業率の計算からは外れます。 失業率が下がっても、それが「就職できた」からなのか 「探すのをやめた人が増えた」からなのかは、この内訳を見ないと分かりません。

7. 株式・株価指数

時価総額加重

株価指数の作り方のひとつ。各銘柄を「時価総額(株価 × 発行株数 = 会社の市場での大きさ)」に応じた重みで合成します。 大きい会社ほど指数への影響が大きく、市場全体の動きを素直に映すのが特長です。

TOPIX(東証株価指数)や米国の S&P 500 がこの方式。 年金(GPIF)など多くの機関投資家が運用の物差し(ベンチマーク)に使うのも、市場全体を代表するこのタイプの指数です。 指数の重み付けという意味では ウェイト の考え方とも通じます。

株価平均型・値がさ株

もうひとつの作り方が「株価平均型」。銘柄の株価そのものを足し合わせて平均します(実際には株式分割などを調整した「みなし株価」を使う)。 この方式だと、1 株あたりの株価が高い銘柄=値がさ株の値動きが、指数に大きく効いてしまいます。

日経平均株価(225 銘柄)がこの方式の代表で、半導体関連などの値がさ株が買われると、市場全体はそれほどでなくても日経平均だけが大きく動く、ということが起こります。 「日経平均は上がったのに自分の持ち株は冴えない」と感じるのは、この構造が一因です。

NT 倍率

日経平均株価 ÷ TOPIX で計算する倍率。N(Nikkei)と T(TOPIX)の頭文字から「NT 倍率」と呼びます。 2 つの指数の「ズレ」を 1 本の数字にしたもので、近年はおおむね 12〜18 倍程度で推移します。

NT 倍率が上がっているときは、市場全体(時価総額加重の TOPIX)より日経平均が相対的に強い = 値がさ株主導で日経平均が押し上がっている、と読めます。 逆に下がっていれば、幅広い銘柄が買われている(または値がさ株が売られている)局面です。

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