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フィリップス曲線 — 失業と物価の関係は、なぜ崩れたか

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フィリップス曲線とは

失業率と物価上昇率の逆相関。1958 年に経済学者 A.W. Phillips が提示した古典的な関係で、失業率が低い局面ほどインフレ圧力が高まる、というメカニズムを表します。教科書的な図では右下がりの曲線として描かれます。

教科書のフィリップス曲線(理論)

物価上昇率 失業率

失業率が下がれば、物価が上がる(右下がり)

年代別の点群の形

3 つのパネルで、点群の「形」に注目してください。失業率(横軸)と物価(縦軸)の関係が、25 年でどう変わったかが見えます。 X 軸 1.5〜6.0%、Y 軸 −2.5〜+4.5% で 3 図とも軸を揃えています

2000s

120 点
  • 失業率は 4〜5% 台で上下
  • 物価は 0% 近くで横ばい
  • 点群が横一直線

2010s

114 点
  • 失業率が 5% から 2% へ低下
  • 物価は依然 0% 近くで横ばい
  • 点群が横一直線(失業率は動いたのに物価は動かず)

2020s

76 点
  • 失業率は 2〜3% でほぼ動かず
  • 物価が +2〜+4% へ大きく上昇
  • 点群が縦一直線(逆 L 字)

並べて見ると

教科書では 「失業率が下がれば物価が上がる」 という右下がりの関係が想定されます。日本のデータを並べると:

日本銀行のレポート(2025)でもこの「逆 L 字型」の指摘があり、関係性そのものが変質している可能性が議論されています。賃金硬直性、グローバル化、人口動態、デジタル化、期待インフレ率の低位定着など複数の仮説が併存しており、断定的な結論は出ていません。

ここで示すのは観測される散らばり方であって、原因を特定したり政策を評価するものではありません。

全期間オーバーレイ(参考)

すべての年代を 1 枚に重ねた図。色の違いに注目すると、年代ごとに点群の位置と形が変わっていることが見えます。軌跡の細線は時系列順の動きを示しています。期間ボタンで 10 年代を選ぶと、その時期だけ強調されて他がフェードします。

完全失業率 × CPI 総合 前年同月比 (月次、全期間)

出典: 総務省統計局「労働力調査(基本集計)」 / 総務省統計局「消費者物価指数 長期時系列データ 中分類指数(1970 年 1 月~最新月)」

2000s2010s2020s310 ヶ月分のドット・細線は時系列順の移動軌跡

データ範囲についての注記

本サイトの CPI データは 2000 年 1 月以降を取り込んでいます(2020 年基準。2019 年以前は FRED 経由の接続指数を rebase した値、2020 年以降は e-Stat の最新値)。 フィリップス曲線研究では 1970〜1990 年代の動きが本来重要で、その時期は教科書通りの右下がり曲線が日本にも観察されたとされます。 その範囲のデータ取り込みは継続作業として整備していきます。 また、失業率は東日本大震災直後の 2011 年 3〜8 月が調査中断のため空白になっています。

関連する指標・解説

このデータについて

X 軸
完全失業率(原数値、月次、% / 総務省統計局 労働力調査)
Y 軸
CPI 総合 前年同月比(2020 年基準、月次、% / 総務省統計局 消費者物価指数)
プロット数
120 点(2000s)、114 点(2010s)、76 点(2020s) / 計 310 点
軸範囲
失業率 1.5〜6%、CPI YoY -2.5〜4.5%(全 4 図で統一)
色分け
10 年単位(2000s 緑 / 2010s 橙 / 2020s 赤、1990s 青は今回データなし)
軌跡線
date 順に細線で接続(時系列の動きの参考)
CPI 拡張の経緯
2019 年以前は FRED の Japan CPI(2015=100)を 0.982250 倍で 2020 基準に rebase した一回限りのバックフィル。2020 年以降は e-Stat の現行値を使用

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