GDP(国内総生産)— 名目・実質・GDI
この指標を発表しているのは 内閣府
最新値()
2026-Q2 時点
1 次速報実質 GDP
季節調整・年率換算
599.0 兆円
前期比年率 +1.6%
名目 GDP
季節調整・年率換算
689.2 兆円
前期比年率 +5.3%
実質 GDI(国内総所得)
実質 GDP + 交易利得(損失)
590.5 兆円
交易利得 -8.5 兆円
実質 前期比: +0.4% / 直近 4 四半期の実質前期比年率の平均: +0.8%(単一四半期のブレに振り回されないトレンド指標)
名目 GDP・実質 GDP・実質 GDI の長期推移
名目 GDP・実質 GDP・実質 GDI(季節調整、年率換算、十億円)
全期間で見ると「失われた 30 年」が視覚化される。実質基準年は 2020 暦年連鎖価格。実質 GDI は実質 GDP に交易利得(損失)を加えた値。
名目はその時点の物価、実質は基準年の物価に揃えた値。デフレ期は名目が伸び悩み、近年のインフレ局面では名目が実質を急速に上回る。実質 GDI は実質 GDP に交易利得(損失)を加味した値で、輸入コスト上昇局面では実質 GDP より下振れしやすい。
前期比年率の推移
前期比年率 とは? という方はリンク先で計算の仕組みを解説しています。
前期比年率(%)— 実質 / 名目 / 実質 GDI
リーマン (2008-2009)、東日本大震災 (2011)、コロナ (2020) の三大ショックが急落で観察できる
破線 (赤) は温度判定の上閾値 +2%。0% を下回るとマイナス成長=景気後退の局面。
Reading guide
何を見るべきか
GDP(国内総生産:Gross Domestic Product)は、一定期間に国内で生産されたすべての財・サービスの付加価値の合計です。内閣府が四半期ごとに公表(1 次速報・2 次速報・確報の 3 段階)し、経済規模の総合指標として世界中の経済比較で使われます。
名目 GDP と実質 GDP の違い
- 名目 GDP: その時点の物価で評価した付加価値の合計
- 実質 GDP: 基準年の物価に換算して評価(物価変動を除いた量的な動き)
インフレ局面では名目 GDP が実質 GDP より早く伸びます。デフレ局面では逆に名目が伸び悩み、時には実質を下回ることもあります。日本の「失われた 30 年」の特徴は、名目 GDP がほぼ横ばいという極めて珍しい姿として表れました(→ 名目と実質の違い / 失われた 30 年)。
なお、このページの GDP は 季節調整済 の値を、年率換算 で表示しています。 四半期の前期比 +0.3% を年率換算すると約 +1.2% になります。
実質 GDP と実質 GDI(国内総所得)の差
GDI(Gross Domestic Income:国内総所得)は、実質 GDP に交易利得(損失)を加えたものです。「交易」は貿易・輸出入のこと、「利得」という聞き慣れない言葉は、要は輸出入の値段の差から生まれる、実質的な購買力の増減のこと。同じ量を輸出していても、輸入品(原油・LNG など)の値段が上がれば、その分だけ買える輸入品は減り、実質的な所得は目減りします。この目減り分(プラスなら増加分)を金額に換算したのが交易利得(損失)です。
2026 年 Q2時点で実質 GDP は599 兆円ですが、実質 GDI は590.5 兆円と8.5 兆円少なくなっています。差の正体が交易利得(損失)で、この時点では-8.5 兆円のマイナス、つまり原油・LNG など輸入コストの上昇(円安・資源高)が実質的な所得を目減りさせている状態です。
交易利得(損失)は 2000 年代前半までプラス圏(1994-Q1 時点で+16.0 兆円)でしたが、2010 年代の資源高・円安局面でマイナスに転じ、2023-Q1 には -16.9 兆円まで悪化しました。「生産量(実質 GDP)は伸びているのに、輸入コストの上昇で手元に残る実質的な所得(実質 GDI)はそれほど伸びない」という構図は、実質賃金の伸び悩みとも通じる話です(→ 実質賃金)。
「失われた 30 年」をどう読むか
まず時期を分けて見る必要があります。
- 1995 年〜2015 年(約 20 年間): 名目 GDP は 524.2〜545.5 兆円のレンジでほぼ横ばい。これが伝統的に「失われた 20 年」と呼ばれた時期です。
- 2015 年〜2020 年: 緩やかに上昇開始(500 兆円台後半まで)。
- 2020 年〜現在: コストプッシュ型のインフレ局面で名目 GDP が急上昇。2026 年 Q2 時点で 689.2 兆円に達しています。
ここで重要なのは、「名目が上がった = 経済が成長した」とは限らないという点です。物価変動を除いた実質 GDPで見ると、30 年間(1995-Q1 → 2026-Q2)の伸びは 468.9 → 599 兆円、すなわち +28%(年率 +0.8%)にとどまります。
同期間、米国の名目 GDP は約 4 倍、中国は約 30 倍に成長しています。日本の実質 GDP の年率成長率は、先進国の中でも屈指の低さであり、この構造は近年の名目 GDP 上昇によっても変わっていません。
これは経済学的には長期停滞(Secular Stagnation)と呼ばれる現象で、原因の議論は多岐にわたります。家計の現預金偏重、企業の内部留保積み上げ、人口動態の変化、低い設備投資、デフレ期待の定着などが指摘されます。単一の原因に帰着できる現象ではありません。
月次の先行指標と GDP の関係
時間軸で並べると、こうなります:
GDP は「結果」、機械受注と IIP は「予兆」。このサイトでは月次の先行指標で経済の動きを追いかけ、四半期の GDP で結果を確認する構成になっています。
家計金融資産との関係
日本の家計金融資産は約 2,200 兆円(日本銀行「資金循環統計」、2025 年時点)に達します。その構成は他の先進国と大きく異なります。
- 日本:現預金 約 50%、株式・投信 合計で 約 20%
- 米国:現預金 約 12%、株式・投信 合計で 50% 超
このマネー構造の違いが、長期 GDP 成長率の差の一因として指摘されることがあります。現預金は超低金利下で運用効率が極めて低く、家計の資産が成長に振り向けられず貯蓄として滞留しやすい。一方で株式・投信は IPO や増資を通じて企業の成長資金として循環します。
ただし、「現預金が悪い」という単純な話ではありません。家計の資産配分は、リスク許容度、過去のバブル経験、投資教育の歴史、税制、所得環境、年金制度など多くの要因で決まります。それぞれに合理性があります。
しかしマクロで見たとき、巨額の現預金が動かないことは経済の循環速度を遅くする一因であることは、データから読み取れる事実です。判断材料としてこの構造を提示し、判断は読者に委ねます。家計金融資産の日米比較は、家計金融資産ページで詳しく扱っています。
他の指標との関係
政策金利と 長期金利の水準は、企業の投資コストを通じて GDP に効きます。円ドル為替は輸出企業の収益を左右し、CPI の動きは名目 GDP と実質 GDP の差として表れます。可処分所得と 実質賃金は、GDP の家計セクター(消費)に直結します。
関連する指標・解説
この指標を扱った分析
このデータについて
- 対象
- 日本の名目 GDP・実質 GDP・実質 GDI(国内総所得)・交易利得(損失)(季節調整済、年率換算、四半期)
- 一次ソース
- 内閣府「四半期別 GDP 速報(QE: Quarterly Estimates)」
- 取得
- 内閣府公表 CSV(gaku-jk / gaku-mk / ritu-jk / ritu-mk)を直接 DL し合成。実質 GDI・交易利得は gaku-jk / ritu-jk の <参考> 列から取得(名目には対応する概念が無い)
- 実質基準
- 2020 暦年連鎖価格
- 期間
- 1994-Q1 〜 最新四半期。1990 年代以降の日本経済全期間をカバー
- 頻度
- 四半期(1 次速報、2 次速報、確報の 3 段階)
- 速報・確報
- 1 次速報は四半期終了の約 6 週間後、2 次速報は約 9 週間後。データは公表のたびに改訂される(時に数 % の改定もあり)
- 注意点
- 前期比年率は単一四半期のブレが大きい。トレンド判断は直近 4 四半期平均を併用するのが標準
- 温度判定
- 実質 GDP 前期比年率で判定: < 0% で冷たい、0〜2% で適温、> 2% で熱い
- 位置づけ
- 機械受注(先行)→ 鉱工業生産(一致)→ GDP(結果) の時間軸の最後に位置する総量指標
- データソース
- 内閣府 国民経済計算(GDP 統計)
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