家計金融資産の構成 — 日米比較
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この指標を発表しているのは 日本銀行
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🇯🇵 日本
総額: 2,195 兆円
- 現金・預金: 51.0%
- 債務証券: 1.4%
- 投資信託: 6.0%
- 株式等: 12.2%
- 保険・年金・定型保証: 26.0%
- その他: 3.4%
🇺🇸 米国
総額: 128.8 兆ドル
- 現金・預金: 11.5%
- 債務証券: 4.6%
- 投資信託: 13.1%
- 株式等: 41.5%
- 保険・年金・定型保証: 26.6%
- その他: 2.6%
日米構成比の比較
家計金融資産の構成比 — 日本 vs 米国(2025-Q1 時点)
横並び 100% 積み上げ棒グラフ。同じ「家計金融資産」でも構成は劇的に違う。
日本の現預金 51.0% に対し、米国は 11.5%。米国は株式等が 41.5%(日本は 12.2%)。
日本の総額と現預金比率の長期推移
日本の家計金融資産 総額と現預金比率の長期推移(1980 年〜)
BoJ「資金循環統計」より。約 5 倍に拡大したが現預金比率は構造的に高いまま。
1980-1996 の総額および 1980-2004 の現預金比率は、日本銀行公表の年末値マイルストーン(凡例の破線部分)です。新 SNA 基準では四半期遡及計算が 2005-Q1 までしか存在しないため、それ以前は年末値で表示しています。それ以降は四半期データ(凡例の実線部分)。総額の出典は BoJ 主要時系列 CSV、現預金比率の四半期データは OECD SDMX 経由の BoJ 資金循環データ再配信。凡例をクリックで表示/非表示を切替できます。
株価はどれだけ上がったか — 日米比較
構成比の違いは、株式が生んだリターンの違いとも重なります。日本株(日経平均株価)と米国株(S&P 500)を、表示期間の最初の月を 100 にそろえて伸びを比べたのが次のグラフです。株を多く持つ国の指数がどれだけ上がり、株を持たない国の指数がどれだけしか上がっていないか——構成比の差と並べて見ると、両者がつながって見えてきます。
株価の伸び — 日経平均 vs S&P 500
表示期間の最初の月を 100 とした指数。線が高いほど、その期間に大きく上がったことを示す。
1996 年 6 月 を 100 とした指数(200 なら 2 倍)。期間ボタンを変えると起点も変わります。日経平均株価は FRED(セントルイス連銀)の月末終値、S&P 500 は multpl.com(Robert Shiller の長期データ)の月次値。凡例をクリックで表示/非表示を切替できます。
Reading guide
何を見るべきか
家計金融資産とは、家計(個人と個人事業主含む)が保有する金融資産の合計です。日本銀行「資金循環統計」が四半期ごとに公表し、経済全体のマネーがどこに滞留・循環しているかを示すマクロ構造指標として使われます。
構成カテゴリの説明
- 現金・預金: 手元現金、普通預金、定期預金、外貨預金等
- 債務証券: 国債、社債、その他の確定利付き証券
- 投資信託: 公募投信、ETF、私募投信
- 株式等: 上場株式、非上場株式、出資金
- 保険・年金・定型保証: 生命保険、年金準備金、確定拠出年金等
- その他: 金融派生商品、預け金、未収金等
1980 年からの推移
日本の家計金融資産は、1980 年末の約 366 兆円から 2025 年 Q1 の約 2,195 兆円へ、約 6.0 倍に拡大しました。一方で、現預金比率は構造的に高いままで、長期的に 50〜60% のレンジを維持しています。
総額は伸びても、構成比の重心は動いていない——これは長期 GDP 成長率や 政策金利 の動きと並列して見ると、独特の景色が見えてきます(→ 失われた 30 年)。
日米構造の違いがもたらすもの
家計の現預金が動かないことの含意として、しばしば次のような点が指摘されます。
- 企業の資金調達コスト: 株式・社債発行による調達が小規模で、銀行融資依存型になる傾向
- 配当・キャピタルゲインの帰属: 日本企業の利益のうち、外国人投資家に流れる比率が相対的に高くなる
- 長期 GDP 成長率: 資金が成長企業に振り向けられにくく、設備投資・R&D が制約されやすい
- 家計の資産インカム: 金融資産から得られる利息・配当・キャピタルゲインが小さくなる
ただし、この構造にはそれぞれ合理的な背景もあります:
- 1990 年代のバブル崩壊・株価長期低迷の経験
- 長く続いたデフレ期における現金保有の合理性
- 投資教育やリスク許容度形成の機会の少なさ
- 公的年金が手厚かったため、個人での資産運用の必要性が相対的に低かった
「現預金が悪い」という単純な評価ではなく、「この構造はどう日本経済に影響しているか」をデータで観察するのが、このページの立場です。
NISA 拡充以降の動き
2014 年に NISA(少額投資非課税制度)が始まり、2024 年からは新 NISA(恒久化、非課税枠拡大)に移行しました。データ上、株式・投信の構成比は緩やかに上昇傾向にありますが、マクロ構造の変化は極めて遅いのが特徴です。
個人の選択は、それぞれの環境と価値観で決まります。一方でマクロで集計したとき、その集合的な選択がどのような構造を作り、それが GDP・金利・物価 にどう影響するか——これがマクロ経済学の問いです。
他の指標との関係
政策金利が長く 0% 近辺で固定された期間、現預金の運用利回りはほぼゼロでした。CPI がプラスに転じた局面では、現預金の実質購買力が目減りします。長期金利の上昇は、預金 vs 債券・株式の相対魅力度に影響します。所得と資産の関係、GDP との関係も併せてどうぞ。
関連する指標・解説
この指標を扱った分析
このデータについて
- 対象
- 日本の家計(個人と個人事業主含む)の金融資産残高(四半期)+ 米国家計の構成比(最新スナップショット)
- 一次ソース
- 日本銀行「資金循環統計」/ 米国 FRB「Financial Accounts」
- 取得
- BoJ「資金循環の日米欧比較」(sjhiq.pdf) を直接 DL し、PDF 解析で日米スナップショット抽出。歴史的マイルストーンは BoJ 公式長期遡及データから採取
- 期間
- 日本 1980-Q4 〜 2025-Q1(年末値マイルストーン + 最新四半期)。米国 2025-Q1 スナップショット
- 頻度
- 四半期(公表は四半期終了の約 3 ヶ月後)
- 注意点
- 構造変化は極めて遅い指標。月次・四半期の小さな変動より、長期トレンドで見るべき
- 温度判定
- 現預金比率で判定(構造指標): > 50% で冷たい、30〜50% で適温、< 30% で熱い
- 比較レポート
- BoJ「資金循環の日米欧比較」が四半期ごとに公表される最も信頼できる比較ソース。本ページのデータも同レポートを直接パースして取得
- 株価指数
- 「株価はどれだけ上がったか」グラフの日経平均株価は FRED(セントルイス連銀)の月末終値、S&P 500 は multpl.com(Robert Shiller の長期データ)の月次値。家計金融資産とは出典が異なる
- データソース
- 日本銀行 資金循環統計