「賃上げ」報道のウラ — 名目・実質・物価の三角関係
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- 名目賃金 前年同月比: +3.1% 指数 100.1
- 実質賃金 前年同月比: +1.4% 指数 87.1
- CPI 総合 前年同月比: +1.5% 指数 112.7
3 系列を 1 枚に重ねる
名目賃金・実質賃金・CPI 総合(2020 年平均 = 100)
出典: 厚生労働省「毎月勤労統計調査 全国調査 長期時系列表(確報)/ 最新の結果表(速報)」 / 総務省統計局「消費者物価指数 長期時系列データ 中分類指数(1970 年 1 月~最新月)」
12 月の急騰は冬季賞与(ボーナス)が現金給与総額に含まれることによる季節性です。トレンドは複数月の動きで読んでください。
3 つの数字、何が違う?
似たような名前で似たような動きをする 3 つの指数ですが、意味するものは別物です。
- 名目賃金(額面): 給与明細に書かれた金額そのもの。 春闘の「N% 賃上げ」というニュースは、ほぼこの数字が動いたという話です。
- CPI 総合(物価): 家計が普段買っているモノやサービスの値段の平均的な上がり方。
- 実質賃金: 名目賃金から物価上昇分を割り引いた、 同じ給料で実際に何を何個買えるかの指標。
算式で書くと「実質賃金 ≒ 名目賃金 ÷ 物価」。 物価が上がると、たとえ額面が増えても実質は伸び悩む。これが「賃上げのニュースがあったのに生活が楽にならない」体感の正体です。 もう一段詳しい整理は 所得の正体 ページにまとめています。
いま日本で起きていること
2020 年平均 = 100 を基準に、3 系列が今どこにいるかを並べてみます。 ボーナス月の影響を均すため 2026 年 3 月 までの 12 ヶ月平均で見ると、 名目賃金が 112.4(+12.4 pt)、 CPI が 112.3(+12.3 pt)、 実質賃金が 98.2(-1.8 pt)。 名目は CPI に追いつくペースで上がってきましたが、 その差し引きである実質は 100 の前後で粘っているのが直近の構図です。
2022〜2024 年は、世界的な資源高と円安による輸入物価の上昇が CPI を押し上げ、 実質賃金の前年同月比がマイナス圏に長く沈みました (輸入物価指数 / 米ドル/円 も合わせて見ると、その因果は読み取りやすくなります)。 もう一段詳しい整理は 実質賃金ページ を参照してください。
直近では、2026 年 3 月 の実質賃金前年同月比が +1.4%。 長いマイナス局面からプラス側に頭を出した月もありますが、ボーナスの季節性で月次は揺れるため、トレンドはこのチャートで複数月にわたって追ってください。 この指標が継続的にプラス側に定着するかどうかが、家計の購買力が「実感として上向く」かどうかの境界線になります。
なお、ここでの賃金は事業所が支払う給与の話。手取り(税・社会保険料を引いた後)の話は 可処分所得 ページで別途扱っています。
関連する指標・解説
このデータについて
- 系列
- 名目賃金指数 / 実質賃金指数(毎月勤労統計、5 人以上事業所) + CPI 総合
- 基準
- 3 系列とも 2020 年平均 = 100
- 実質化
- 実質賃金は CPI(持家の帰属家賃を除く総合)でデフレート(厚労省側で算出済み)
- 速報・確報
- 賃金は最新月が速報、CPI は単月確定(チャート上は破線で速報を区別)
- 頻度
- 月次
- 期間
- 1990-01 〜 2026-03